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山陽小野田市市議会議員 高松ひでき

「議会は議論をする場ではない」

2011年1月20日 19:33 高松ひでき 記す

先日、テレビを見ながら新聞を読んでいると何かと話題の阿久根市長選挙のニュースが流れていました。

 

複雑な心境ながら阿久根市民にとっては良い結果かなと思いつつ新聞に目を落とすと、テレビのスピーカーから 「議会は議論をする場ではない」との竹原元市長の言葉が耳に飛び込んできました。

 

議会基本条例策定中の私にとってはとても興味深いコメントです。

 

それは、わたしには「議会は市長と議論をする場ではない」と聞こえたからでした。

 

平成20年の11月に行われた阿久根市の市民懇談会で竹原元市長は次のように語っています。

 

「議会というのは、実は議論をする場になっていない。議員が質問し、執行部は、それに答えるだけです。そういう規則になっている。 本当は議員同士が議論する場があるべきですが、どこにもない。市議会から県議会、国会まで一緒です。では、 どうやって物事を決めているかというと、裏で相談したり、グループ内で事前に談合したりして決めている。 この国はどこに向かっているかわからない。国の言いなりではなく、阿久根市なりに考えて、良い方向に変えていくためにも、 日頃から皆さんが政治に関心を持っていただきたいと思います。」

 

つまり1.議会は執行部と議論をする場ではない

2.議会とは議員同士が議論をする場である

3.議会(本会議)以前に物事が決まっている

4.まちが良くなるためには市民が政治に興味を持つ必要がある

 

1と2は議会の本質です。3についてはケースバイケースですが、4については地方自治の真の姿とも言えます。

 

1の「議会は執行部と議論をする場ではない」についてですが、

地方自治法には「常任委員会は、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、 陳情等を審査する。」

 

 「普通地方公共団体の長、教育委員会の委員長、選挙管理委員会の委員長、人事委員会の委員長又は公平委員会の委員長、 公安委員会の委員長、労働委員会の委員、 農業委員会の会長及び監査委員その他法律に基づく委員会の代表者又は委員並びにその委任又は嘱託を受けた者は、 議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない。」

 

地方自治法の規定によると委員会は「事務に関する調査」を行い、「議案、陳情等を審査」するとあり 更に議場には議会の 「審議に必要な説明のため」市長や教育委員長などを出席させるとあります。

 

つまり、はじめから議会と市長をはじめ執行部との議論は想定されていないのです。 調査や審査のための説明員として委員会や本会議場に出席していることになります。 説明員はあくまで説明のためであって、議論するために出席しているのではありません。

 

市長をはじめ執行部は政策などを議会に提案し議会がそれを議決した後に執行をします。

執行部は執行機関と呼ばれ議会は議決機関と呼ばれるのはそのためです。

 

それでは一般質問はどうだと反論される方もいらっしゃるでしょうが、本来の一般質問は質問と答弁の繰り返しです。

一般質問とは、行財政全般にわたって、執行機関に対し、 説明を求め又は所信を質すことであり対等に政策的な議論をする場ではありません。 もちろん議員側から建設的な提言などは行っていますが、一方的なものです。(本市議会では、 多少の議論になることは例外的にあります)

 

しかし2のように議会とは議員同士が活発な議論をする場であり、その必要があります。

 

特に専門的集中的に市の事務の調査や議案の審査をする委員会では委員同士が論戦を繰り広げなければなりません。

が現在のところ本市議会においては極めて低調です。

 

このことに関して議会基本条例制定特別委員会において委員会内の自由討議を条例に盛り込むことを決定しています。

自由討議とは、案件に対して執行部からの説明後に委員間で様々な資料や情報をもとに議論を尽くすことです。 議論を尽くした後に委員会の採決をします。

 

また議員全員が重要案件に関して意見交換や議論をする政策討論会も既に委員会では条例に盛り込むことを決定しています。

議会は言論の府であることを実践していくことを条例によりルール化しようとするものです。

 

この様に公式な議会や委員会は、厳密に言えば市長を含む執行部と議論をするところではありませんが、 だからといって議会は上段に構えて執行部と議論をしていないわけではありません。

実際の政策立案者である実務をする職員などと議員の立場で、日々議論を交わしています。 また非公式な協議会などを開催してざっくばらんに協議を重ねているのです。

また、会派主催の勉強会や議員連盟などでも執行部と議論を交わしています。

 

阿久根市の竹原元市長の行動や手法は、まったくルールを逸脱していますが、 阿久根市議会を含む地方議会に警鐘を鳴らし続けたのは事実だと感じています。

また、防府市や名古屋市についても首長の理論には首をかしげるものですが、 この様な市長を輩出する風土を作った議会にもその責任は十分あるのではないかと思っています。

議会は、責任の重みと職責を自覚し議会としてまた議員としてそしてまちの未来を見据えて、 やらねばならないことをきちんとやり遂げていくことこそが、今求められていると痛感しています。

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