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山陽小野田市市議会議員 高松ひでき

水道事業管理者は何故罷免されたのか?

2007年10月17日 11:11 高松ひでき 記す

今回は長くなりますので気合いを入れて読んでください。

まず、罷免とは免職のことであり、わかりやすく言うと解雇つまりクビのことですが、免職は分限免職と懲戒免職があり今回の処分は分限免職にあたります。
そこで分限処分について説明をしますと

「勤務実績が良くない場合や、心身の故障のためにその職務の遂行に支障があり又はこれに堪えない場合などその職に必要な適格性を欠く場合、職の廃止などにより公務の効率性を保つことを目的としてその職員の意に反して行われる処分」

のことで、公務の効率性を保つために行なわれるものであり、職場内の綱紀粛正を目的とした懲戒処分とは異なり懲罰的な意味合いは含まれておらず、免職となった場合でも退職手当が支給されるものです。
また、当然のことながら任命権者が分限処分を行う場合は公正でなければならないとされています。

今回の免職の事由は「その職に必要な適格性を欠く」ということであり、その理由は前回書いたとおりです。今回の処分は任命権者の裁量でなされますが、裁量権に関して最高裁判所は次のような判断を示しています。

「分限処分については、任命権者にある程度の裁量権は認められるけれども、もとよりその純然たる自由裁量に委ねられているものではなく、分限制度の…目的と関係のない目的や動機に基づいて分限処分をすることが許されないのはもちろん、処分事由の有無の判断についても恣意にわたることを許されず、考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して判断するとか、また、その判断が合理性をもつ判断として許容される限度を超えた不当なものであるときは、裁量権の行使を誤つた違法のものであることを免れないというべきである。」

また、「『その職に必要な適格性を欠く場合』とは、当該職員の簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に基因してその職務の円滑な遂行に支障があり、または支障を生ずる高度の蓋然性が認められる場合をいうものと解されるが、この意味における適格性の有無は、当該職員の外部にあらわれた行動、態度に徴してこれを判断するほかはない。
その場合、個々の行為、態度につき、その性質、態様、背景、状況等の諸般の事情に照らして評価すべきことはもちろん、それら一連の行動、態度については相互に有機的に関連づけてこれを評価すべく、さらに当該職員の経歴や性格、社会環境等の一般的要素をも考慮する必要があり、これら諸般の要素を総合的に検討したうえ、当該職に要求される一般的な適格性の要件との関連においてこれを判断しなければならないのである。」としています。

また、人事院の「職員が分限事由に該当する可能性のある場合の対応措置について(通知)の概要」の記者発表によると、勤務実績不良の職員又は官職への適格性に疑いを抱かせるような問題行動を起こしている職員に対しては、
① 注意・指導を繰り返し行うほか、必要に応じて、担当職務の見直し、研修等を行う。
② それによっても勤務実績不良の状態又は適格性に疑いを抱かせる状態が継
続する場合には、分限処分が行われる可能性がある旨警告する文書(警告書)
を交付する。
③ その上で、これらの状態が改善されていないことにより当該職員が法第78 条第1号(勤務実績不良)又は第3号(適格性欠如)に該当するときには、分限処分(免職又は降任)を行う。

今回の処分に対して、①・②が行われたのでしょうか?裁量権の行使は適正で公平・公正な処分だったのか、恣意的な部分はなかったのか?今後波紋を呼ぶことは間違いありません!!

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