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山陽小野田市市議会議員 高松ひでき

わかりにくい財政の話しその2~4つの指標~

2010年5月 2日 18:52 高松ひでき 記す

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前回に引き続き、財政のことです。今回はちょっとややこしいかもしれませんが、わかりやすいように書くつもりです。

上の表は、総務省公表の山陽小野田市の平成20年度決算カードです。

 

健全化判断比率として4つの指標の記載があります。 財政状況を客観的に見るために平成17年度から登場しています。

平成20年度は黒字決算のため、実質赤字比率、連結実質赤字比率ともに記載無しとなっています。

実質赤字比率は、一般会計の赤字の割合、連結実質赤字比率は、一般会計と公営企業会計を文字通り連結した赤字の割合を見ます。

 

その下の実質公債費比率の数値は過去3年間の平均値が記載されています。平成20年度は18.2%となっています。 17年度からの数値の推移を見てみますと、

平成17年度23.7

平成18年度24.5

平成19年度19.8

平成20年度18.2

徐々に数値が下がってきています。ここにも春の兆しが見えています。

 

それでは「実質公債費比率」とは何でしょうか?

まず、「公債費」を簡単に説明しますと、市などが事業を行うために地方銀行や政府系金融機関などから借り入れたお金のことを「地方債」 と言います。10年から30年かけて、借りたお金を返すことになります。この返すお金のことを「公債費」と呼びます。要は返済金のことです。 当然利息も含まれます。

 

平成17年度以前は、表の中程にある公債費負担比率が使われていました。これは単純に、一般財源(自由に使えるお金のことで、 主には地方税や地方交付税など)に対する公債費(借金と利息)の割合です。

 

しかし、自治体(市)は、一般会計等(いわば市役所本体の会計)とは別に病院事業や下水道事業、上水道事業などを持っています。

 

つまり、一般会計等が健全でも、他事業が赤字を垂れ流していればやがて市の会計は破綻をします。 以前の公債費負担比率には病院や下水道などへの繰り出し金が含まれていないため財政状況を的確に反映することができませんでした。 そこで新たに、実質公債費比率なるものが登場したわけです。(この指標で全体を見ることができます。)


そのため、実質公債費比率の公債費とは、一般会計等の借金と利息の他に病院や下水道などへの繰り出し金(当市では約35億円) も加算されます。

 

さて、本市の平成20年度の数値は18.2%ですが、適正なのでしょうか?

 

イエローカード(単独事業の借金が制限される)の基準値は25%、レッドカード(公共事業等の借金も制限される)の基準値は35% となっており、とりあえず審判からカードを出されることはありません。

が、18%以上は「公債費負担適正化計画」の提出が義務づけられています。(ということは18%以下が適正と言うことになります。)

本市の 「公債費負担適正化計画」は市のホームページで見ることができます。

 

ここで気をつけないといけないのが、市の借金(公債費)は、家庭の借金や会社の借金とはまったく意味合いが違います。 家庭や会社の借金はない方がよいですが、市の場合はそうではありません。

 

借金(公債費)が全くない自治体は無いと思いますが、あるとすれば、その自治体の発展は止まっているか(成熟状態)、 現世代がすべてを負担をしている状態で全く公平性などありません。

 

ところで、地方交付税不交付団体という言葉、ご存じでしょうか?以前、小野田市も不交付団体だったことがあります。

 

基準財政需要額に対して基準財政収入額が超過している地方公共団体のことですが、簡単に言えば、 国からの仕送りを必要としない市や町などのことです。全国には152の市町村と東京都が不交付団体となっています。 自立をしているまちとも言えます。

 

所沢市、熱海市、国立市、六ヶ所村などが、不交付団体ですが、それぞれの実質公債費比率は、7.3%、9.3%、5.2%、5.1% となっており、少ないながらも借金を返しています。

 

何故、自立しているまちなのに借金をしているのでしょうか。もちろん、事業費が巨額の場合、 手持ちのお金では賄いきれないから借金をするのですが、事業費に充てる十分なお金があっても借金をするのが行政の公平性です。

 

たとえば、新しく道路や公共施設などの建設を行う場合、お金が必要となりますが、これらの施設が10年、 20年の長期にわたって使用できるものであれば、その年の市民の税金だけに負担を求める事は不公平で、10年、20年後の市民にも、 万遍なく負担してもらえるよう、借り入れをしてお金を調達する事が必要となります。

 

つまり、公共物は全市民のものですから、まちが進化を続けている以上、借金をして物を造っていく必要があります。

 

市にとって借金があることが問題ではなくて、一般財源と借金とのバランスが重要になります。だから実質公債費比率が重要視されます。

 

もっとも、借金する事業の必要性を慎重に議論しなければならないことは言うまでもありませんが。

 

今後5年間で合併特例債(一種の借金)や地方債を使う複数の大型事業が計画されています。議会は、 これらの健全化判断比率というセンサーに注意しながら健全な財政運営になるように目を光らせていきます。

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